広島大学大学院 医系科学研究科 外科学

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ごあいさつ

高橋信也

 令和元年8月1日に、第5代教授として着任致しました、高橋信也と申します。私は、1998年に広島大学医学部を卒業し、関連病院で修練をした後、イタリアのトリノ大学病院にて臨床留学させていただきました。その後は、広島大学病院にて、臨床・教育・研究に従事し続け、心臓血管外科のあらゆる疾患治療を経験させていただきました。これから、多くの方々に教えていただいたことを広島で実践しつつ、さらによいものにしていけるように継続的に展開していきたいと考えております。

 

 当科は、昭和20年代の開設時より、消化器外科を中心として、心臓、血管、胸部外科、小児外科を担当して参りました。第2代以降の教授は、心臓血管外科を専門としてきましたが、今日に至るまで、心臓血管外科、消化器外科、小児外科を3つの柱としてきました。それぞれの分野にて、切磋琢磨し、診療を第一に考えて成長してきた科です。時代は変わり令和となり、外科学も大きく様代わりしています。対象疾患も変化し、対象患者も高齢化が進んでいます。私たちは今、外科学の変換点にいるといえます。その一部分をご紹介します。

 

 手術はまずは根治性や長期成績が求められるべきですが、同時により低侵襲に、高齢な患者さんでも安心して手術が受けられるように変化しています。心臓血管手術においては、天皇陛下も受けられた人工心肺を用いないオフポンプ冠動脈バイパス術や、人工弁を用いない弁形成術あるいは自己心膜を使用した弁再建術を行っています。低侵襲化もすすんでおり、右小開胸の弁膜症手術や左小開胸の冠動脈バイパス術、胸腔鏡下の心房細動手術なども行っています。動脈瘤に対してはステント治療を中心に行っていますが、開胸手術が適切である場合もあり、適宜選択するようにしています。胆膵手術においては、術前化学療法を含めた包括的かつエビデンスレベルの高い治療を実践し、根治性を高めています。下部消化管の手術では腹腔鏡下手術を行っています。小児外科では、小児がんの症例に対する外科的治療をはじめとして、中四国の拠点病院としての役割を果たしています。

 

 これから外科医になろうという人、後期研修医においては、外科学すべてを網羅して学び、外科専門医を確実に取得するように指導します。すべてを学ぶことにより、医師としての幅の広さを身に着け、他臓器の医師と自然な連携のできる思考法と環境を整えるように指導していきます。

 

 診療を支えている臓器別の外科系専門医・指導医育成も非常に重要な問題です。専門医・指導医に必要な症例数、論文数を本人とともに確認し、実際にクリアしていく。非常に高いハードルではありますが、達成するためには、組織的に取り組む必要性があり、当科を含めた外科系講座全体で取り組んでいきます。

 

 成長していく過程で、自分が疑問に思うことや、世界に存在する疑問に対して、研究を行うことは非常にいいことです。大学病院では基礎研究や臨床研究を大学院生とともに進めていきます。関連病院においては、症例の積み重ねの先に、症例報告と、経験のまとめとしての原著論文の作成を指導していきます。このことは、外科医の技術的な経験だけではなく、文献的考察に基づく視野の拡大、そして新しいことにチャレンジする方向性を強化していくことつながっていきます。そして、探求心が進むことにより、さらに新しいことを学びたいという希望・欲求がある場合は、それに合うような国内・海外留学を推進し、ひいてはそれが、広島の医療の発展につながっていくかと考えます。

 

 外科的治療が必要となった場合には、広島大学病院の外科にお問い合わせ頂ければお力になれると自負しております。また、将来外科医を目指される学生さんや、研修医の皆さん、共に新しい外科学を展開していきましょう。

今後も広島県のそして日本の外科診療に貢献するべく邁進していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

広島大学大学院医系科学研究科外科学

教授 高橋 信也