膵癌(すいがん)教室 on the web 8
はじめに
膵癌の患者さんやそのご家族、また膵がんについて正しい知識を学んでみたいとおもわれている方に、
膵がんの正しい情報をできるだけわかりやすくお伝えするページです。
「切除可能性分類」とは?
膵癌(すいがん) の治療法の一つに、がんを手術で取り除く方法がありますが、
全ての膵癌が手術で取り除けるわけではありません。
その可能性を分類するために、近年「切除可能性分類」という基準が用いられています。
「切除可能性分類」では、膵癌を「局所の浸潤程度」と「遠隔転移の有無」により分類します。
標準手術で「癌が遺残する可能性」を定義したものです。
リンパ節転移の有無はふくまれない分類です
- 切除可能(Resectable: R):
標準手術で「癌が遺残なし」が達成可能なもの
がんが膵臓内に限局しており、周囲の主要血管に接していない状態を示します。
手術によってがんを完全に取り除くことが期待できます。
この段階での治療は、最もがんの治癒率が高いと考えられています。
2.限界切除可能(Borderline Resectable: BR):
標準手術で「組織学的癌遺残」の可能性が高いもの
がんが周囲の主要血管に接触しているため、
手術により癌が露出してしまい完全な切除が困難な可能性がある状態です。
通常、化学療法や放射線療法を先に行い、がんを小さくしてから手術を検討します。
3. 非切除可能(Unresectable: UR):
標準手術で「肉眼的癌遺残」の可能性が高いもの
がんが膵臓を越えて大きく広がり、周囲の主要血管や他の臓器に深く浸潤(入りこむ状態)
している状態を指します
この段階では、手術でがんを完全に取り除くことは非常に難しく、
他の治療方法が主に考慮されます。
近年、初回診断時には切除不能と診断されても、一定期間化学療法や放射線療法を施行した結果、
病勢がコントロールできた場合に外科的切除を施行する場合があります。
これをConversion手術といいます。
非手術療法から手術療法への治療方針を転換する(Convertする)という意味となります。
この膵癌切除可能性分類は、患者さんごとのがんの状態に合わせて、最適な治療法を決定するための重要な指標となります。
医師はこの分類をもとに、患者さんと相談しながら、最も適した治療計画を立てていきます。
膵癌(すいがん) 教室 on the Web 8
膵がんは増えていると同時に、ここ最近の診断や治療の進歩にはめざましいものがあります。
「膵癌 (すいがん)教室 on the WEB」では、
膵がん診療の最新情報をわかりやすく不定期で解説していきます。
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2024.3.28