ペースメーカトラブルシューティング(レーザーシースを用いた)
エキシマレーザー心内リード抜去システムを用いたリード抜去術
植込み型ペースメーカや植込み型除細動器等(以下植込みデバイス)の植込みリードに不具合(多くは感染)が発生した場合、患者さんには種々の症状が生まれますが、これら不具合リードは往々にして命を脅かす合併症を生みます。
その最たるものは感染とこれに続く敗血症・感染性心内膜炎で、これはリードを抜去しない限り治癒が見込めず、逆にリードが抜去出来なければ致死的となる合併症です。更に問題なのは、植え込まれてから時間の経っている(6ヶ月以上)リードは、リード周囲の血管と癒着を生じており、単純牽引では抜去出来ず、無理に引っ張れば血管損傷・心タンポナーデという致死的な手術時の合併症を起こします。
このため、従来であれば、単純牽引で抜去出来ないものは開心術(人工心肺の使用)が必要となりますが、これは体への負担も大きいため、全身状態が既に悪化している場合に行うのは非常に危険性が高い治療となります。
その問題点を打開するために導入した医療技術が、エキシマレーザー心内リード抜去システムを用いたリード抜去術であります。
本技術に用いる方法は、リード周辺に癒着している瘢痕組織を専用のエキシマレーザ装置(発振波長308nm)からのレーザ光により蒸散させてリード抜去術を施行するために使用する機器です。この方法であれば、植込みデバイスのポケット部分のみの創で手術が可能で、体への負担が少なく、敗血症などの重大な合併症を発症している患者さんにも比較的用いやすく、救命率も上がることが知られています。
2010年9月現在、この技術が国内で行える病院は全国でも10施設あまりで、広島県では当院のみで施行が可能な手術となっています。
●心腔内に癒着したリードを剥離しながら抜去する方法の原理
1.ポケット部のリード端からリード内腔にロッキングスタイレット(Locking stylet)を挿入し、内腔側からリードをロックして保持する。 |
2.リードの外側からエキシマレーザーシース(sheath)を挿入し、癒着を剥がし落としながら癒着剥離を行う。
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【レーザシースとレーザ発生装置】
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【レーザシースによる癒着の剥離】
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レーザシース挿入中
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レーザシース先端から 照射 |
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