広島大学大学院 医系科学研究科 外科学

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【肝胆膵外科】膵島移植急性期エダラボン投与による移植膵島の生着促進効果

 

1.はじめに

 インスリン依存型糖尿病は、糖尿病専門医でも血糖のコントロールが極めて難しいため、諸種の糖尿病合併症(腎症、網膜症、神経症など)が確実に進行する疾患です。また、インスリン投与過剰による低血糖発作も重篤な障害を残す可能性があります。インスリン依存型糖尿病の治療法の一つとして、膵島移植が注目されています。膵島移植は、提供された膵臓から膵島を分離精製し、局所麻酔下に肝内門脈に移植を行う治療法です。移植膵島は血糖値を感知し、リアルタイムにインスリンやグルカゴンを分泌することで血糖値を良好なコントロールに導いてくれます。

 膵島移植はレシピエントに対する侵襲が少ない安全な治療法であり、今後の発展が切望されていますが、膵島移植が直面する最も重要な課題として、1人の糖尿病レシピエントがインスリン治療より離脱するためには2~3回の膵島移植、すなわち2~3人分のドナーを必要とすることが挙げられます。これは移植した膵島が種々の原因により障害、破壊され、1回の移植のみでは機能する膵島数が不足することに起因しています。

 

 

2.研究目的

 膵島移植における移植膵島細胞の生着率の向上のための薬剤を探索する。

 

 

3.結果

我々は、糖尿病ラットに対する膵島移植モデルを用いて、膵島移植急性期にエダラボン(ラジカット®)を投与することによって、移植膵島のレシピエントの肝内での生着が促進することを示しました。

糖尿病ラットに1匹のラットの膵島を移植しても全例血糖値の改善がみられないのですが、1匹のラットの膵島を移植する際にエダラボンを投与することによって60%のラットの血糖値に改善がみられ、50%のラットの血糖値に正常化がみられました。移植2週後に施行したIVGTTでも30分後の血中インスリン濃度が有意に良好でした。レシピエント肝を用いた免疫染色でも膵島細胞の生着が有意に良好でした。Nagatani_2.JPG

Nagatani_1.JPG

4.まとめ

ヒトにおける膵島移植においても、エダラボンを投与することにより移植膵島の生着が促進される可能性が期待できる結果がみられました。