心臓手術に対する小切開手術
−小さな傷で社会復帰も速やかに!−
広島大学病院では心臓手術に対して小切開手術を行っています。
1)僧帽弁に対する弁形成術(とくに僧帽弁単独病変、症状に乏しいけれど弁逆流が著しく今後の心不全の発生が懸念される場合を含む)
2)狭心症に対する冠動脈バイパス術(特に前下行枝、左回旋枝)
心臓手術は、全胸骨を縦に切開する胸骨正中切開が標準ですが、胸骨を全切開すると約3ヶ月間、10㎏以上の重いものが持てなかったり、激しい運動が困難であったりします。3ヶ月以降、運動制限は基本的に解除されますが、若い方は社会復帰までに時間を要し、年配の方は日常生活復帰までにやはり時間を要します。
広島大学病院では、症例に合わせて可能なら「小切開手術」を行っています。
ただ、複雑な病変では、小切開では困難と判断した場合は無理をせずに従来の切開方法で行い、病態に合わせてよりメリットの多い切開方法を患者さんとともに検討しています。
具体的には、先天性心疾患・僧帽弁膜症手術では、右胸お乳の下を小開胸もしくは正中の小切開で胸骨部分切開して、内視鏡を補助下に、直視下で心臓手術を行っています。大動脈弁膜症手術では、正中の小切開で胸骨部分切開を行っています。
2019年からは、Yozuらの方法を習得し、僧帽弁形成術単独あるいは、三尖弁輪縫縮術、肺静脈口隔離術、左心耳閉鎖の併施症例に関しては、右開胸の手術を積極的に取り入れています。症例にもよりますが、術後10日間程度で退院される患者さんもおられます。
Loop techniqueによる、弁をほとんど切除せずに形成する方法
胸腔鏡での視野は非常に良好で、僧帽弁を全体を見渡し、かつ術野外からテレビ画面を通して病変を観察できるため、術者にとってわかりやすく手術しやすいだけでなく、チーム医療としてや、教育的医療としても非常に高い効果があります。
大動脈手術では、別ページでご紹介しているステントグラフトを利用して、足の付け根から経カテーテル的に治療を行っています。