膵癌(すいがん)教室 on the web 5
はじめに
膵癌の患者さんやそのご家族、また膵がんについて正しい知識を学んでみたいとおもわれている方に、
膵がんの正しい情報をできるだけわかりやすくお伝えするページです。
いずれの検査も、血液検査で測定することができます。
腫瘍マーカーの値が高いとき、がんの存在を疑います。
またがん治療の効果判定としても有用です。
基本的には治療が効果的な場合は、値がひくくなり、そうでない場合は増加します。
CA19-9 基準値 37.0 U/ml以下
膵がんを検出する感度としては70-80%あるといわれています。
しかし進行がんを除くと除くと、陽性率は低く、
2cm以下の膵がんでは陽性率が約半分ともいわれています。
ですから、診断やスクリーニングでの有用性は限定的です。
一方、治療前に CA19-9 値が高い場合には、
その治療効果を判定する時に有用です。
一般的には
- CA19-9値の上昇は、治療効果がなく、病状が悪くなっている。
- CA19-9値が変わらなければ、病状は安定している。
- CA19-9値の低下は、治療効果があり、病状が改善していると判断します。
値の解釈には注意が必要です。
また糖尿病により血糖コントロールが悪くなっていると、
CA19-9 の半減期が延長するため高い値を示すことがあります。
https://www.pancan.org/facing-pancreatic-cancer/diagnosis/ca19-9/
DUPAN-2 基準値150以下(U/mL)
膵がんを検出する感度としては50-60%あるといわれています。
また CA19-9 のように、膵炎で上昇しないため、膵がんや胆道がんが疑われた場合に
良性疾患との鑑別にも有用です。
下の図に示すように
CA19-9 と SPAN-1 には強い相関がみられますが、
CA19-9 と DUPAN-2 には相関がありません。
そのため DUPAN-2 は CA19-9 などとの組合せにより診断率が向上するとされています。
(Pancreas 2004;28:219–230)
腫瘍マーカー:
がんの発生に伴って血液中に増える物質のことを腫瘍マーカーと呼びます。
がんの発見や診断の手がかりにします。
黄疸(おうだん):
肝臓でつくられる胆汁色素がさまざまな原因により血液にたまり、
その色素のために皮膚や体の組織が黄色になる症状。
膵癌(すいがん) 教室 on the Web 5 おわり
膵がんは増えていると同時に、ここ最近の診断や治療の進歩にはめざましいものがあります。
「膵癌 (すいがん)教室 on the WEB」では、
膵がん診療の最新情報をわかりやすく不定期で解説していきます。