【小児外科】小児外科で多い病気 停留精巣・包茎
1.停留精巣(停留睾丸)
1)停留精巣とは?
精巣は胎児6~9週に,次第に下降し,そけい管というところを通って陰嚢の中に下降します。精巣の下降が途中で停まったものが停留精巣です。
2)放っておくとどうなるの?
精子をつくる細胞が精子まで成熟するためには腹腔内より温度が1.5~2.0℃低い陰嚢の中に収まることが必要です。したがって、手術で精巣を陰嚢内に固定する必要があります.そのまま、放置しておくと、精巣の発育がうまくいかず、二次性徴(男子としての成長)がうまくいかなくなる恐れがあります。また,お腹の中にある停留精巣を放置しておくと,成人になってから癌化しやすいといわれています.
3)頻度
頻度は新生児では成熟児の約3%、低出生体重児では約30%です。生後3~6ヶ月までは陰嚢の中に自然下降する事もあり、1歳ではその頻度は0.8%になります。
4)治療方法
精巣の機能低下を防ぐためには早いうちに精巣を陰嚢内におろしてあげることが必要です.現在では遅くとも2歳迄に手術をするのが良いとされています.もしお子さんの陰嚢が空っぽであれば,小児外科医に相談してください。
2.包茎
1)包茎
とは?包茎には次の2種類があります。
・真性包茎‥包皮の先が狭く、皮をむいても亀頭が露出できない状態
・仮性包茎‥亀頭は包皮に包まれているが、これをむくと容易に亀頭が露出できる状態
このうち一般的に治療の対象このとなるのは、真性包茎です。
2)頻度
新生児の96%は真性包茎ですが、その後自然に改善し3歳児では10%になります。
3)治療
早期手術が必要かどうかについては色々意見が分かれるところですが、排尿障害・亀頭包皮炎などを認める場合には手術を行うほうが良いと考えます。
また、嵌頓包茎の状態になると陰茎の先が締め付けられ循環障害を起こし、放置すると陰茎が壊死するので早急に減張切開が必要になります。
当科では主に、背面切開という手術を施行しています。
(写真:Treating phimosis. Med J Aust. 2003 Feb 17;178(4):148-50.より)