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【大腸肛門外科】大腸癌の外科治療

 

はじめに

 

 大腸癌治療はこの20年で大きく変遷してきました.化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法の進歩は目覚しく,特に欧米を中心に大規模な臨床試験の結果が報告され,新規薬剤を使用することにより腫瘍縮小や生存期間の延長に寄与することが明らかになってきました.また放射線治療は特に直腸癌の治療として術前に化学療法と併用することで局所再発率を低下させることが報告されています.

 このように、多様化してきた大腸癌治療の均一化、標準化のために大腸癌研究会 (http://www.jsccr.jp/index.html) から「大腸がん治療ガイドライン」が発表され,当科でもこのガイドラインに準じた治療を行っています.しかし,病気の進み具合,体の状態,社会的背景などによりこのガイドライン通りの治療方法が適応できない場合には,できる限り日常生活の質を保つような治療を提案しています.

 

当科の特色

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Ⅰ.直腸癌に対する術前化学放射線療法と肛門温存手術 

 

 肛門に近い下部の直腸にできた癌はその周囲にあるリンパ節から全身に転移する可能性があり,手術ではそれらのリンパ節も一緒に摘出(郭清)します.しかし直腸周囲には排便,排尿や性機能に関する神経が密集し,それらが切除されてしまうと排便,排尿,性機能に関する機能障害が起こりえます.このため下部直腸癌の治療では癌の根治性を損なわず,かつ機能温存を図るという課題があります.かつて癌が肛門のすぐ近くにある場合では,排便に重要な肛門を締める筋肉(肛門括約筋)を手術で切除していたため,永久人工肛門となることがありました.そのため,欧米を中止とした専門施設では直腸癌の治療は手術のみでなく,化学療法と放射線療法を用いて根治性を高め,自然肛門や骨盤内臓器の機能を温存する試みが行われてきました.当科では、局所再発率の低下と機能温存の両立を目指し,術前に腫瘍の位置やリンパ節,遠隔転移の有無により,化学療法、放射線療法と手術を組み合わせた集学的治療を行っています.

 

①直腸の手術について 

  ~肛門括約筋、機能温存を目指して~

 

 直腸でも肛門から離れた位置に腫瘍がある場合には腸管を切除して再吻合します.しかし直腸と肛門の境目(歯状線)にかかる肛門に近い位置にある場合には,以前であれば永久人工肛門となる手術が行われていました(腹会陰式直腸切断術).しかし,化学療法,放射線療法と手術を組み合わせた集学的治療で自然肛門を温存することができる例があり,肛門括約筋を部分的に切除して肛門を温存する手術(Inter Sphincteric Resection (ISR):内肛門括約筋切除術)も状態に応じて施行しています.

 

②下部進行直腸癌に対する術前化学放射線療法

 

 下部の進行直腸癌に対し,欧米を中心に標準的に行われている化学放射線療法を採用し,術前に化学放射線療法を行った上で手術を行うことで,排便,排尿や性機能に関する神経や自然肛門を極力温存するように努めています.

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Ⅱ.切除不能進行再発大腸癌に対する治療について 

 

 大腸癌が発見されたとき、すでに他の臓器に転移している状態をStageⅣといいます。患者さん個々により,同じStageⅣでも病気の状態はさまざまですが,手術だけでは完全に治すことが難しいため,化学療法や放射線療法などを組み合わせて治療を行っています.また再発した大腸癌に対しても化学療法や放射線療法を積極的に行い,手術が可能となる場合もあります.集学的治療を積極的に行い予後改善に貢献したいと考えています.

 

Ⅲ.大腸癌に対する腹腔鏡手術について 

  

 腹腔鏡手術は、1990年代に胆嚢摘出術に始まり、現在では消化器疾患のさまざまな分野で導入されるようになってきました.当科では2007年より炎症性腸疾患に対して腹腔鏡手術を導入し,2009年より大腸癌に対しても本格的に導入しています.基本的には腹腔鏡手術を第1選択としていますが,他の臓器へ直接広がっている場合,大きな癌,腸閉塞,手術既往がある場合などには開腹手術を行うこともあります.一般的に腹腔鏡手術の長所として,創が小さいので創の痛みが少ない,術後の回復が早い,などが挙げられますが,短所として,直接触れて確認できない,開腹手術より手術時間がかかる,といったことがあります.腹腔鏡手術を受ける場合は,そのメリットだけでなく,デメリットや開腹手術で行った場合との違いなど,十分ご理解した上で選択していただきたいと思います。

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Ⅳ.最後に 

 

  患者さんには,十分な治療説明を受けられ,納得した上で治療を受けていただくことが重要と考えます.他の医師の意見も聞いてみたいと思われる場合はセカンドオピニオン(他施設を受診して治療方法の相談を行う)も可能ですので,お気軽に担当医師までご相談下さい.